Sun.熟柿

  真夜中を立ち尽くしたるさびしさの嵩がしまいに熟柿となりぬ 
写真:一本の柿
     
 「養へる柿の重さに耐へながら木はそびえ立つダムの湖畔に 吹田 伊藤 恵 岡井隆選 評 歌意は明瞭。みずから養育したものの重味にたえるのは木だけではない。」これは今朝の新聞から。
 柿はうつくしい。我が家の奥に、松崎柿と呼ぶ柿の村がある。かつて村人はこれを背負って市内を売り歩いて、糊口をしのいだという。古木は枝を垂れて風格がある。ここまで来るには一朝一夕ではない。晩秋のさびしい風景でひとり華やいでいる柿。