..Sat..34019

 「こんくせ」は醜いことだと戒められていた。「子癖」つまりわが子を人前で褒めることの嗜みだったのかなあ。大人の話題をそれとなく耳にして、解釈していたことが多かった。
 生徒たちとの半生はいとおしさが底なしであった。反面わが子となれば、こんくせに陥らないように心した面があった。が、今ごろになって生徒たちと変わらない可愛さは底なしである。
 娘はいくつになってもあの日の少女のままの、背後から抱き上げたい軽やかな感触がいまにのこる。なのに華奢な体躯はいまは重いものを詰め込んで、すくい上げるにはこちらの腕力が衰えてきた。
  満開の紅梅のした乙女子のすそふくらませ風すきとおる