Sun. グラジオラス

  八敗はなんとも悔し豪風の郷土は小兵の押し出しを待つ         
    
7月27日産経花壇の小島ゆかり選より
今君が書架に戻した空色の背表紙を追う午後の図書室  大阪市 仲居聖子
・・「書架」「背表紙」「図書館」という硬質な言葉が新鮮にひびく。の評の図書「館」は間違い。しっかりした仕事を期待したい。

選歌の「広島はあめ」と母言へば2時間後、予報のごとく奈良に雨ふる 平群町 伊東文 の歌はそっくりなのを見た記憶がある。地名は異なっていたと思うが。テレビの画面の印象なので、歌会始かNHK花壇か、具体的に資料がないので弱いがどなたかから指摘していただきたい。

友の歌が優れて見える日曜日花は買わねど心満たさる  鎌倉市  武藤春子 は啄木の歌が元にある。それはいいのだが、説明なしで選歌するのは、新聞の読者には親切ではないと思う。オリジナル作品と読まれることもありそう。元歌なくして、花は買わねど、は意味不明になるところ。ところで元歌の「花を買い来て妻としたしむ」の切実な心境にくらべるといかにも軽い。パロディとしては立ち話程度のものとみた。本歌どりは元の歌をこえてこそのものだと思うのである。