Sat. ポピー ・ さしぼっこ




diary
今年最初の山菜さしぼっこが届いた。得意なものではなかったが、紅色が春めいて試してみようと、茹でてマヨーズでいただく、とこれがいける。小鉢に盛った一皿を二人で平らげた。明日の分は沢山あるから、酢味噌を添えてみよう。秋田県内では食用にする地方はそんなに多くはない。わたしの故郷では食べなかったのでおっかなびっくりだった。
初物を味わいながら、70歳をとうに過ぎて、春の山にわくわくとして出かけてゆくササキさんのしなやかさに驚く。周囲のリタイアした年代の、男女ともに人生を楽しむ術を持っていることに感動することが多い。この年代になるまで想像すらしなかった時間の使い方に、指針を持たなかったわたしは今不器用にいる。
実際、リタイアするまでの人生は受験、就職、労働、結婚、子育てにまで大雑把なマニュアルがあるから、目標に向かって努力すればよかった。いまはそのようなバーはない。参考書も問題集もない。睡眠時間を削って励むノルマはない。茫洋とした中にみんな平等に置かれていることは、生れて初めてある境遇。
けれどもこの時間がまた決して平等でないのが事実であるし、未知数なのがやっかいである。