Sat. 和ガラス
コンポート 色被せ
◎ 気温は４度ほどになるらしい。それでもありがたい。外出の予定はないので静かに過ごそう。
◎ 満豪開拓団として２０町歩の地主になれるという国の甘言に踊らされて渡った人々のドキュメントがながれている。耕作に適さない開拓地に開墾鍬一丁あたえられてのスタートという。その後敗戦で辛うじて引揚げ、国内の開拓地に向かう暮らし。戦後の国家開発プロジェクトに翻弄された国民はどれほどの数にのぼるだろうか。戦後７０年ほとんど国の復興とともに費やされた生涯の果てに、いまでは開拓した集落の多くが廃村になっているらしい。
還暦の高校の同級会で親の職業欄に農業とあると憐れんだといわれてのけぞった。市街地からくる友人のサラリーマン家庭を羨んだことがなかったばかりか、頑是ない兄はチョーニンと陰口をたたいた。彼女たちの親の世代はせいぜい農家２生３世だろうから、貧困の印象が深いのは祖たちの背景からくるものだとすれば合点がゆく。
満州から引き揚げてきた国家公務員と電力会社員の二人の伯父は生家の援助で市内に家屋敷を設けた。師範学校を出てそうそうに校長を務めた叔父の長男は、医学に進み開業に及んで生家を頼った。これみな小地主の懐による。家屋を含め暮らしぶりに何ら疑義も感じないまま私は６０歳を迎えていたらしい。
確かに街道筋に連なる農村地帯に育まれて高校に進学した友人は少ない。１ジェネレーション社会機構に乗り遅れたのも事実だ。
社会全体が貧しかったことは言いようのない寂しさが蘇る。
