The.

  壺に咲く椿2輪に窓外の雪きよくふるぼたん雪なり
  君伏して待ち焦がれたる雪霏霏と嵩高く積む思い叶えリ
写真:表慶館        
              
 北限の椿を持つ男鹿の末裔として、庭に大小、何種類もの椿を植えた。30年来付き合って来て春の椿は風にいたぶられて、生家の木立の中に咲いていたのとは違って、よごれてしまうのが意に沿わなかった。けれどもこの陽気に誘われて庭の一枝を切って壺に入れたら翌日にはひとつのシミもない清純な花を咲かせた。郡山から見舞いに訪れた義妹と一緒に、言葉すくなに慈しんだ椿である。