Wed.  南大門焼失

kasanのかなしき韻が懐にこだましてついに逃れざるなり  

ソウルの南大門が焼け落ちたのは残念でならない。重厚な美しい屋根をもつ門は西洋のそれらとは違って、その下に宿ることを許してくれそうな母なる門として私のなかにあった。とっくに失った我が国の羅城門とだぶっていた。そう、あの羅生門の荒廃した姿とは異なる韓国国宝1号の雄姿である。
親友2人と誘いあって韓国1周の旅をして20年以上にもなるが、緑の美しさ、街路樹のむくげの優しさ、料理の美味しさ、工芸品の見事さに魅かれながら、人々には疎まれた感じを抱いて帰国した。2度と行くことはないだろう、と思った。だがあの南大門を思うと無性になつかしく、また訪ねたくなる。春になったら秋田空港から出かけようかと話し合っていたが、これではまた亡き母を探すような旅になってしまうではないか。