Sat. エジプト・ムバラク大統領

  100万の武器を持たざる群衆がこぶしひとつを掲げ往くなり



essay Muslim

エジプト・ムバラク大統領辞任表明。革命のエネルギーを目の当たりにする。民衆の怒りとその爆発力を信じたい。
5年前に15日間のトルコの旅で、イスラム教徒の日本語ガイドと知り合った。大学を終えたインテリの彼は、熱い心で国のためには死も厭わないと断言した。自爆も恐るるに足りず、という勢い。前年サッカーの試合に来たイギリスチームのメンバーがターキー(七面鳥)を食いにターキー(トルコ)にやってきた、とコメントして逆鱗に触れ両チームの乱闘に発展、死者を出した。
彼は当然の成り行きだ、現場に居合わせたら自身迷わずに加わっただろうと言い、モスクに案内するたびに私たちに断わって礼拝をしつづけた。
日ごろ陽気で温厚な砂漠の民が、日に数度礼拝を優先に生き続ける男たちが、打倒ムバラクとこぶしを挙げたが最後、容易に引きさがるとは思いがたい。
なんの武器も持たない民衆が丸腰で、こぶしひとつで政府を転覆させる叫びのマグマに打たれている。
あたらしい時代はいつも青年の命によって開かれてゆくことを信じたい。