Thu. 26161

  きょう姉は退院しゆく八病棟すこしさびしく君のこされる
  家中に朝の祈りのキャラの香がながれてしばしつつまれている
  日本海に生れたる風が背に荒ぶ坂をくだれば笑顔にあえる 
 早朝目を覚ますと、この冬愛用しているかいまきが布団の上にきちんと広がっていた。母が嫁入り支度に縫ってくれた黄八丈のそれである。こんなことは一度もなかったし、自分で整えた覚えも無いのでとっさにノリさん、と思った。
 「風のたより」は子供たちに発進した看病日記。たがいの日課に組み込まれて往復書簡になって、随分支えてもらった。でも数行の短い通信を昨日で廃刊した。惜しまれながら。充分に味わった家族のエキス、3月にあやかって卒業。  9134歩