Sat. くるまゆり

essay
九谷焼
そうか、九谷焼の派手さは雪に閉ざされた金沢の人々の色を求めた産物なのだ。器を並べてみるとまず九谷には手が出ない。あのぼってりとした色の広がりのどこに盛り付けるというの?
でも金沢の料理人はそれに挑戦する。
私もこの雪に囲まれると思いっきり花を夢想する。
何年か前に埋めた球根がちゃんと毎年咲いていたらしい。木々の下にあって見逃していたが、ちらっとみえたので・・・近寄った。おひさしぶり。
少女時代果樹園につづく林の中で採取し、庭のマイ花壇に移植して、数年間は咲き続けた思い出のゆり。葉は車輪の様に放射状に広がるのが特徴である。小ぶりなはなは江戸のおきゃんな町娘を思わせる。絶えるわけでもなく、毎年時期を違えずに咲く元気のよさも似通っている。