Sun.ほたるぶくろ・茂直はやとちり

  つる首に挿せる窓辺の純白のほたるぶくろに風が寄り添う

手入れを怠っているために庭のそこここにほたるぶくろが咲き出した。いくらか抜いてきて窓辺に挿して優しい気分に浸ってるいい日曜日。この庭はこれで気に入ってるの。そして今日の気分がゆったりしているのにはもうひとつ訳がある。

兄である。
あには癌で胃を切ってからちょうど2年目。このごろ具合がよくないらしく、行けばそれっきりだと言い張って病院にゆきたがらなくて・・と義姉から電話がかかってきた。本人は覚悟してるから心配するな、と言うし。
ここで機を逸したら幼少期に味わわされた被害者意識もさることながら、こちらが振った事件のいくつかの負い目もある。清算しないと取り返しがつかないことになっては、と思って5万円を包んでかけつけたのが昨日。
すると声には張りがあるし、退院したら少し肥えたと言って腹をみせる。新盆の客になろうかと案じたがそうには見えなかった。はやとちりだった、と頭をかくのだから・・5万円は損をした。
ふとんから抜け出したままのぼさぼさ頭でたばこを片手に足を組む、これは奴の得意のポーズ、一枚撮っていくよ。