Tue. はたはた

  稲妻の走る潮をみなぎらせ男鹿半島にはたはた産めり

essay はたはた
これぞぶりこはたはた。もともと深海魚のはたはたは海の底を回遊しながら、産卵のために男鹿半島にたどり着いて、海が荒れるとここぞとばかり水面近くまで浮かび上がり岸辺に向かう、そこを熟達の漁師が狙う。そのときの卵はしっかり充実していてこれをぶりっこと呼ぶ。ばけつで掬うほど寄るけれども漁業権が無いのでそれは禁止、けれども釣りは許されている。ここらでは寿司にも握られる。
秋田沖にたどり着く前に底引き網で獲られて、店に並べられたよそもののたはたはたを、待ちかねた県民はやっぱり買ってしまうが、卵は未熟。がっかりして本番を待って、いやが上にも盛り上がり、漁が始まると4キロ単位の箱で買う。鰰、鱩という文字をあてて敬いながら、これをたらふく食う。