Sat. 愛の終りの時・花壇

  積む雪の青きひかりが沁みとおり土中に千の花の芽うごく
雪は実際零下を保つのだが、花壇に積もっているこの柔らかさはむしろぬくもりが伝わってきそうな気がする。

石川達三の本が本棚にあるのも意外だが、それを手にするのもおもしろい。睡眠剤の代わりに手当たりしだい読んでいるが、夕べはこれ。
第2の職場を去る目前の夫婦の来しかたと老いを書いていて、身につまされた。
<人間の愛情というものは一般的に言って、40年までは続かない、25年から30年ぐらいで一応はしぼんでゆく・・・その年月の永さは、夫婦の生んだ子が成人して、親もとをはなれて行くまでの時間の永さとほぼ同じであるらしい>。の論理、真実をついている。老いた世代の問題は古い秩序の家、家庭、親子の組織が無力化したところにある。しかしここにいたって、<新しい愛のかたちは古いモラルと秩序によって再建しようとしてもむなしい努力に終わるよりほかない>。と久保田正文はいう。
この作品は昭和36年に発表されている。驚くのは40年経った今も、出口が見当たらない老年世代の論理の不毛である。”関係ない”という語が人気の現代の疎外に放り出され、やり場のない老年の孤独は埋めるべくもないままなのである。たぶん生涯。後発世代もこの洗礼を受けるのは必定だろう。
これはうれしいことに老年は皆平等に孤独だ。地位も肩書きも経済の多寡も、夫婦も独身も子供の有無にかかわらず。帳尻が合っている清々しさがいい。
外食するのも面倒で結局20時過ぎの調理。ぜんまいと昆布の煮物。やりいかのやきもの。ぜんざい。みょうがの味噌漬け。一人だけならしないこと。
I read the novel, “ The time, when love ends” by Tatsuzo Ishikawa. He was born in Akita, and he got the first Akutagawa Prize.
He wrote in this story, “ the love between a husband and wife ends after about thirty years, this is about the same as the time from when their children are born until they become independent”.
And then, the old couple couldn’t make a new bond of love. It is the most important issue for elderly people of the today.