Fri.  睡蓮

義父義母(ちちはは)を葬(ほう)りし後に君病むはうれしかりけりひとり占めする
吾に無き孫とその母離すなく老いを遂ぐべき姉は姉なれ

老いてゆくものの作法をひっそりと微かに見据うと文女逝きたり



diary
☆ ノリさんの血液内科定期検診日、異常なし。しかし診察中にもらして慌てた。次回検診は2ヶ月後。
☆ 仙台で震災に遭った姪のアキコが息子の水泳大会の応援に来て、立ち寄ってくれた。痩せたが、元気で笑顔を見せてくれて、泣けた。
☆ 息子がけさの便で帰国したが、多分ジェットラグだろうと、電話は遠慮。メールは送った。あした電話をくれるとのメールなので楽しみ。
☆ 昨日のランチに引き続いて今日もうなぎ。紀文のパックで国産うなぎがいい味出している。これからはこれでいこう。ノリさん夏にめっぽう強く、食欲旺盛、体重が少し増えた。
☆ チョコレートコスモスブルーサルビアを買う。コンテナの雛罌粟の後にリフォーム。
essay
師匠に出会う
生涯はたして師匠と呼ぶ人に出会うのだろうか、この年齢になると心もとなくなってきた。
興味を持った分野に入り込むなら、好い師匠に教えを乞うのが必定である。なによりこのことが1番難しい。
評判を聞いたり、作品に触れたりしてそれなりの下調べをして学ぶ機会を得ても、上手くいかないことの方が多い。
隷書のすばらしさに定評のあるN氏は大学教授で、彼の後援者は各界にいて、手厚く持て囃されていた。添削は親切で、ダメだしも容赦ない。門下生の中からは、展覧会で特選や、上位入賞者を輩出した。コーチとしては1級の部に属すると言えた。が、見限った。
それは、ホテルの1室での稽古日で、先に手習いしている方々は薄暗い中で静かに書いていた。視力に自信のない私は入るとすぐさまスイッチを入れて点灯した。途端先生は電気はいらないっと神経質に声をあげた。なんのことやら訳が分からず、あわてた。なんのことはない、禿げ始めた頭頂部が気がかりだったのだ。書家として一家言をもつ男としての小心に、度肝を抜かれてそれっきり。
師匠として仰ぐには取るに足らない部類であった。